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~「おかえり」はやぶさ2。。。~

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「おかえり」はやぶさ2。。。そして「いってらっしゃい」

先日、新型コロナウィルスの猛威により世界中が暗く落ち込みがちな中、明るい話題がありました。皆さんも今まで少なからずテレビや新聞で目にしたことはあったと思います。はやぶさ2が52億キロの宇宙の旅を約6年の歳月をかけて無事任務を果たし地球近くへ戻ってきました。はやぶさ2は2014年2月に鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられたH2Aロケット26号機に搭載されていました。12月5日の夜にカプセルも無事に分離でき2019年に小惑星「りゅうぐう」で採取した岩石のサンプルが入っていると言われています。
そのカプセルも12月6日午前4時47分に、前回のはやぶさのカプセルと同じオーストラリア南部ウーメラの砂漠地帯で回収されました。はやぶさ2本体は次の目的地の小惑星「1998KY26」に向け出発しました。

以前、阿部寛が主演した下町ロケットというドラマがありましたが皆さんご存知ですか?
これは、佃製作所という中小企業が作ったバルブがロケットに採用された物語ですが、実は私たちが作っている糸もロケットに必要不可欠なものであり、このはやぶさのカプセルにも耐熱材として採用されています。
前回のはやぶさのカプセルは「イトカワ」で微粒子の採取に成功しました。今回のカプセルは基本的な素材はそのままで、いろいろな機能が改善されています。

 


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このカプセルの耐熱材「ヒートシールド」は弊社で生産しているカイノールカーボン(カーボンフェノール)が採用されています。もともとこの素材は、H2ロケットの固体燃料ブースターの噴射ノズルの内側に耐熱材として採用されたのが始まりで、現在はH2A、H2B、H3ロケットの固体燃料ブースターやイプシロンロケットの噴射ノズルに使われています。


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カイノールはフェノール系ノボロイド繊維で、耐薬品性や耐熱性に優れた素材です。弊社では1977年(昭和55年)よりカイノールの生産に取り掛りました。当初は非常に糸にする事が難しい繊維でしたが、工夫に工夫を重ね設備改造をして何とか糸にすることに成功しました。しかしながら、産業資材用途に使うには糸のムラなど課題が多く残されました。それでも日本の宇宙開発において当初から期待されていた素材であり、弊社もプロジェクトチームを作り品質の向上・安定に取り組んだ結果、1994年2月のH2ロケット1号機から採用されました。つい先日の11月29日のH2Aロケット43号機まで全ての固体燃料ブースターに続けて採用されており、イプシロンロケットも1号機から採用されています。
私達が、作った糸が遠い宇宙まで行くのに役立っている事は嬉しい限りです。
弊社は、今後も世界に貢献できる企業になるべく日々精進してまいります。
そして、お客様にとってより良い商品づくりに、これからも邁進して参りたいと思います。

 

紡績部門 生産統括部 小笠原正人

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