皆さんは、カーペットと聞いたとき、どのような状態をイメージされますか。
アンティークのある部屋に長方形の長細いものが一枚置いてある、
そのようなイメージが一般的かもしれません。
このような使用方法を“置き敷き”といい、名称の通り置くだけになります。
今回、ホテルの通路や部屋一面に敷く“敷き込み”という方法について、ご紹介致します。
“敷き込み”の場合、“置き敷き”とは異なり全面に敷き込むため、カーペットを
完全に固定する必要があります。そのためこの方法では工事が必要となります。
ここからは敷き替え工事の工程を順に紹介しながら、説明を致します。
1.既存カーペットの捲(めく)り
新しいカーペットを納品するためには、まずは現在敷かれている古いものを剥がして
取り除く必要があります。先ほど完全に固定すると説明しましたが固定されているため
取り除くのも結構手間のかかる作業になります。
カーペットを捲るとその下にフエルトというクッション材が出てきますので、これも
新しいものに交換する場合は剥がす必要があります。
しかし、フエルトはラテックスという接着剤で固定されているため綺麗には剥がれません。
2.ケレンがけ
次に古い接着剤(ラテックス)を床から剥がす、ケレンがけという作業を行います。
カーペットを敷いたときに段差ができないように専用の道具を使って奇麗に剥がします。
3.新しいフエルトを敷く
古いものを綺麗に取り除けたら、下地に接着剤(ラテックス)を塗布し新しいフエルトを敷いていきます。
4.カーペットを広げて位置を決める
フエルトを無事敷き終わったら、いよいよカーペットを広げます。
柄の位置を決めるために数人で引っ張りながら位置を決めていきます。
これは非常に重く大変な作業です。
位置が決まれば不要な部分を切り落とし、またカーペットを繋ぎ合わせる場合は
専用のテープを使用しアイロンでテープを溶かしながら繋ぎ合わせます。
写真も一枚ものに見えますが、実は柄の中央部分で繋ぎ合わせています。
5.グリッパーでの固定
部屋の隅全てにグリッパーという器具がありカーペットを固定します。
グリッパーとは木材に釘の尖った部分が出ているもので、その突起部分でカーペットの
ジュートという裏材を固定します。固定する際に弛みをなくすため専用の道具を使い
引っ張りながら固定していきます
実際はもう少し細かい工程に分かれますが、以上がカーペットの“敷き込み“の大まかな
作業手順になります。
実際に納品されたカーペットがこちらになります。貼り替えの前後で随分印象が変わったのでは
ないでしょうか。
〈貼り替え前〉 〈貼り替え後〉
KKR京都くに荘様 特別室
皆さんもホテルなどに宿泊される際は、一度こういった工程をイメージしてみてはいかがでしょうか。
是非カーペットをこれまでとは違う視点で楽しんでいただければと思います。
インテリア部門営業部