長谷虎紡績公式ブログ
「やまなみ工房」を見学してきました!

先日、滋賀県甲賀市にある「やまなみ工房」を見学させていただきました。
たくさんのことを考える貴重な時間となりましたのでご報告させてください。
やまなみ工房は1986年(昭和61年)に滋賀県甲賀市で開設された福祉事業所です。
現在は90名ほどの利用者が通所されています。
利用者さんは主に知的や精神、身体に障害をもち、その状態は様々です。
一人一人がそれぞれの方法で“特別な自分”を表現され、日々個性あふれる様々な作品が生まれています。
敷地内には複数のアトリエがありました。利用者の方が安心できる空間探しから行い、各々の作業スペースを決めているそうです。実際にどのアトリエに伺ってもみなさんとても落ち着いてリラックスした状態で作業されていました。
90名近くのアーティストが、粘土・絵画・刺繍などの創作活動を行うアトリエをご紹介いただきました。当日お休みされている利用者の方だけでなく、現在は利用することができなくなった利用者さんまで、すべての方の作品と創作方法やエピソードを教えていただきました。
実際の制作風景を見るのは初めてで、みなさんの集中力と生まれる作品に圧倒されつつ、利用者さんそれぞれに最適な場所を提供していること、そして利用者さんの得意を活かした創作活動をスタッフのみなさんで探していることがすごく伝わってくる時間でした。
すべての施設を案内していただいた後、施設長の山下さんにお話しを伺いました。
利用者さんの行動や作品に私たちはつい意味を見出そうとしていまいますが、それについて山下さんが「本人たちは何を描いているとかそうゆうことに興味が無い人がほとんどで、誰かのためではなく自分のためにモノづくりをしている。」とおっしゃっていたことが印象的です。
本人たちが落ち着く場所を作ること。ルールにはめず、ものさしではからないこと。そんなふうに生きてもいい、あなたはあなたのままでいいという価値観が、やまなみ工房という空間を創っているようです。
また、やまなみ工房にくる企業さんからのオファー等はすべて断らないそうです。その機会がやまなみ工房の社会をつなぐ窓口になることを期待しているとのこと。
子供たちにも存在を知ってもらうために地域の小学校30校弱すべてをまわり展覧会も開催したそうです。
世の中とやまなみ工房をつなぎたい山下さんの想い。
そんな山下さんが開けてくれた窓口から今回やまなみ工房を見学させていただいて、山下さんをはじめ、施設を紹介してくださるみなさんの情熱に触れました。
ものづくりという観点で作家のみなさんから刺激をいただいたのはもちろん、すべての人が助け合い認め合える社会のありかたを感じ、考える機会をいただいた時間となりました。