長谷虎紡績公式ブログ
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Neocon2018 視察
6月11日、降り立ったシカゴは、霧の中。 そして霧の中から顔を出すビル郡は、グレーの色合いに染まり 幻想的な雰囲気に包まれておりました。 毎年6月にシカゴで開催されているネオコンは、 今年記念すべき50回目の開催となりました。 会場の中に入ると、外の霧模様とはガラッと変わり エスカレーターをのぼる途中、頭上に虹が現れました。 それは、レインボーカラーの糸を張りめぐらせた、見事なグラデーションの「糸の虹」。 色彩豊かに、華やかな空間へと来場者を出迎えております。 各ブースに入る時にはスタッフによる簡単なチケットのチェックがあり、 「ハーイ、元気?」と笑顔で気さくに声を掛けてもらい こちらもGoodやFineなど簡単な言葉であいさつを。 小さなコミュニケーションですが、自然と顔がほころびます。 昨年に引き続き、自然と調和するデザインが多く見受けられ、 オフィス家具などにも木などを中心とした自然素材、 フェルトや布のような肌触りも見た目も暖かみのある素材が使用され、 リラックスできる空間が作られておりました。 どの企業も新作が目白押しで、個性溢れる商品が数多くあり、 衣服を身にまとうように、カーペットもファッションの一部に なったような印象を得ました。 用途に合わせて、クールでかっこいい、明るく華やかに、 優しくぬくもりを感じる、何かが始まりそうなワクワクする雰囲気、 静寂のある落ち着いた印象などなど、物語を感じます。 さて、話が少し変わりますが 6月頃のシカゴは日の入りは、おおよそ20時30分近となっており 日本の夕方とは違い明るい太陽が昇っています。 そんな中で、仕事終わりにミシガン湖付近を散歩していました。 すると18時30分すぎに、ミレニアムパーク(公園)のジェイ・ピュリツァー・パビリオンに ぞくぞくと人々が集まり、こんな平日に何があるのだろう??と後を追ってみると オーケストラの音色が耳に入ってくるではありませんか。 後から調べた所によりますと、 シカゴでは毎年6月から8月にかけてクラッシックやジャズなどを 中心としたグランパーク音楽祭がこの場所で開催され 市民の憩いのひと時になっているとのことでした。 (しかも無料です。一部のみ有料席有り) 開放的な野外会場ではクラシック音楽が響き、 会場後方の芝生広場では人々が思い思いに過ごす姿がありました。 恋人同士で肩を寄せ合い話をしていたり、家族や友達、仲間でピクニックをする人たち、 ふらっと一人でやってきて静かに音楽に耳を傾ける人。 およそ1時間30分ほどのコンサートでした。 音楽や美術が身近にあることが、羨ましくもあり、 とても豊かな事なんだなとふと感じてみたり、 そんな日常に触れられたことで、おおらかな気持ちになりました。 そしてきっと、物作りにもこんな日常が反映されているのだなと感じた瞬間でした。 こうした経験を持ち帰り、 新たなアイデアやデザインを作り出していきたいと思っております。
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コットンファミリー
当社の紡績工場(以下、本社工場)では、衣料用から産業資材用まで さまざまなタイプの糸を作っております。 そこで使用する綿花は、シーリーさんという、長年にわたり綿作に 並々ならぬ情熱を持ち続ける方の畑で、丹精込めて育てられた綿を使っています。 シーリーさんの所有する綿花畑の広さは、なんと 羽島市の2倍の面積、約10万㎡もあるのです。 写真の様に見渡す限りシーリーさんの土地なのです。 もちろん、お客様の希望があればさまざまな綿花を手配しています。 シーリーさんの高品質な綿を使い始めて、はや20年になります。 それには理由があります。 日本で例えるなら「お米」が解りやすいでしょうか。 よく、同じコシヒカリでも「魚沼産のコシヒカリ」がおいしいと言われます。 ですが、その裏にはその地域に合った品種改良がなされ、 土壌管理や水、肥料などを適切にやっているからです。 実は、私も農家なのでよく解ります。会社勤めをしながら稲作をすると、 休日しか作業が出来ない為に稲作がおろそかになってしまいます。 ましてや雨に降られたら翌週に延びてしまいます。 それでは、おいしい米が出来るわけありません。 こうして米作りの上手い人、下手な人の差が出るのです。 綿花も同じで、綿作に情熱をもってやっている人とは品質面で差が出ます。 つまり私たちは綿作が上手い人から高品質な綿花を買っているのです。 まさに契約農場みたいなものです。 シーリーさんとの最初の出会いは、今から20年以上も前のことになります。 年1回行われる綿花の国際的な会議(国際綿花諮問委員会)に出席した時に、 わざわざ日本の紡績会社が宿泊するホテルに訪ねて来られ、 その時に面談したのが弊社の綿花担当でした。 シーリーさんは「是非、日本の紡績会社に自分の畑の綿花を使ってほしい」と お願いに来られました。担当者はシーリーさんの綿作における情熱に心を動かされ 「日本の紡績が希望する綿花について」、10年もの間、現地の綿花畑まで出向き 収穫場所毎のロット区分や綿のクリーニングの仕方を指導しました。 収穫が終わるとシーリーさんに来日頂き、実際に本社工場を見学され、 真心のこもった商品を見られ感動されました。 この様な親密な関係を築く事が出来、今日に至ります。 このような関係を築けた紡績会社は世界各国探しても他には無いと自負しています。 今では「HASE-1」とお伝えすれば、弊社の希望する綿花のグレード (繊度、繊維長、強度、色)を供給して頂ける間柄となっています。 近年は地球の気候変動で、世界各地の綿作地で水不足に悩まされる年があります。 シーリーさんの畑も例外ではありません。収穫量が十分の一以下になった年もあり、 その様な時にも弊社向けに綿を確保して頂いた経緯があります。 前担当者はよく「コットンファミリー」という言葉を使われておりましたが、 まさにその通りです。 「2008年 前担当者とシーリーさんら関係者」 ただ単に綿花を買うのではなく、お互いを理解し良い人間関係を 築く事の大切さを感じました。 このご縁を私どもは大切にして、今後も良好な関係を継続してまいります。 そして、お客様にとってより良い商品づくりに、これからも 邁進して参りたいと思います。 (紡績部門 業務課 小笠原正人)
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新生ハセトラ ~新しいスタートと挑戦~
6月1日は当社の創業記念日です。 明治20年(1887年)に創業し、今年で131年目を迎えます。 こうして今日があるのも多くのお客様、お取引先の皆様、諸先輩方をはじめ 社員とその背後にあって支えて下さっているご家族の皆様のお陰です。 心より感謝御礼を申し上げます。 明治20年、初代長谷虎吉は地元との共存共栄を願い、当時なんの産業も無かった 地元に産業を興しました。 雇用創出することで、地域の発展とそこで暮らす人々の幸せ、そして、国家の繁栄を 願い続けました。その思いは、初代から今なお代々受け継がれています。 現在の礎を築いた、3代目の虎治にも、代々続くそうした強い思いがありました。 そして、3代目が特に力を入れたのは、社員教育です。 事業は人なり。 より良い仕事でより良い品物を作るには、それに携わる者の品性が高く無ければならない。 その思いの裏には、本人の若い時の苦難が大きく影響しています。 昭和初期、世界を襲った大恐慌は、当社にも例外なく影響しました。 生糸の相場は暴落し、その当時で100万円(現在の価値に換算すると10億円)の借金が残ったのでした。 当時、まだ10代だった虎治は、その光景を目の当たりにし、藁をもすがる思いで、 事業のことをある方に相談します。 その内容を聞いた廣池千九郎博士(モラロジー創建者、法学博士)の高弟、香川景三郎氏は 10代の青年にこう語りかけます。 「あなたは運命が悪い。もし運命が良ければ天下の財閥に生まれ、この様な借金に苦しむことも なかったでしょう。だが、現在の運命の原因をいくら考えても仕方ない。 これからのあなたの運命を、あなた自身で良くしていけばよいのです。 そのためには、あなたの心づかいと行いによって、運命が変わってくるのですよ」 その言葉に強い衝撃を受けた青年に、さらにこう続けます。 「運命をよくするには、真の親孝行をしなさい。真の親孝行とは、心から親に安心、満足、 喜びを与えることです。親に仕えるのが天地の道であり、その親と子の道に絶対に服従しなければ ならないのです。そして、親に安心を与えるには、尊敬し、兄弟が仲良くしなければなりませんよ」 その当時に虎治が認めた八訓が今でも残されています。 この17才の青年が書いた文字から、その時の強い決意や思いがひしひしと伝わってきます。 【八訓】 一、 忠孝 一、 正義 一、 勤勉努力 一、 生明日 一、 動世界 一、 常困難 一、 不相手人 為相手天 一、 商英雄 昭和五年四月十九日 之書実行 長谷虎治(十七才) 伝統と革新。そして、不変と可変。 創業から131年が経ちましたが、一貫して変わらなかったことは、創業者の理念と繊維に 携わってきたということです。私たちは繊維しか知りません。 だからこそ、繊維の可能性と魅力を誰よりも知っていると自負しています。 この長い歴史の中には、常に挑戦する姿勢がありました。 私たちもその挑戦する姿勢を失わず、新生ハセトラに向け邁進して参ります。 本日より、ホームページの内容もリニューアルさせて頂きました。 当社の事業の一翼を担う、紡績部門の内容を新たに加えました。 これから新しい取り組みなどにつきましても、随時アップして参ります。 引き続き楽しみにして頂ければ幸いです。 今後とも長谷虎紡績株式会社を何卒よろしくお願いいたします。
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Domotex Asia 2018の視察を終えて~時代の潮流を読み解くカー ペットトレンド〜
Domotex Asia 2018が 3月20日~22日の日程にて開催され視察の為中国上海に行って参りました。 今年で20回目となる展覧会では 40カ国から約1500ものエキシビジョンが参加されおり 数々の新しいデザイン、新しい素材が発表され 多くの来場者が訪れる会場は、 益々勢いの増す中国市場の熱気が高まっておりました。 全体のデザインは世界トレンドに沿ったものが多く感じられましたが その中でも中国独自のオリエンタルな風合いや色彩、 歴史を感じるモチーフなどが見られ、その国の文化や風土を知ることができました。 縁起の良いモチーフとして「蝶」のデザインが多く見られ 蝶は中国語で“ディエ”といい、耋(としより)と同じ発音から「長寿」をイメージさせるため、 縁起物としてよく使われているとのことです。 また展示ではインクジェットプリントが非常に多くのブースにて展示されており、 アジア市場での勢いを肌身で感じることができました。 それらはピース品がほとんどで、 絵画のように額装して展示してあるものもあり、高級な印象を得るものでした。 その中でもリアルな表現が目に留まり、宇宙・動物・植物などをプリントしており、 数メートル離れると写真かのように思えるほどのリアルな表現の物はありました。 カラフルで緻密な表現も多く展示されており、 「見て、触れて」楽しむという展示形式で来場者を楽しませておりました。 これからも技術やデザインを学び続け より良い商品をご提供できるよう取り組んで参ります。 今後とも長谷虎紡績株式会社を どうぞよろしくお願いします。
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歴史と伝統、そして未来へ続く新しいご縁
ゴールデンウィークも終わり、風薫る新緑の季節となりました。 さて、先月のことになりますが、4月2日、入社式が執り行われました。 今年は10名の新しいメンバーが、当社の一員に加わってくれました。 当日は素晴らしいお天気にも恵まれ、新入社員10名の爽やかでフレッシュな 雰囲気と相まって、本当に清々しい穏やかな一日となりました。 また、入社式の前後には様々な研修を開催させて頂きました。 ものづくりの基本となる、安全や品質について、基本的な社会人としてのマナー、 そして道徳と品性の大切さなど、その内容は多岐にわたるものでした。 新入社員10名も真剣な眼差しで、メモを取る姿にこちらも共感し、 これからの明るい未来を確信しました。 4月30日には、新入社員歓迎会を開催させて頂きました。 当日は羽島市内のグランドをお借りして、社内紅白ソフトボール大会を開催し、 皆で和気あいあいと汗を流しました。 ソフトボール未経験者もバッターボックスに立ち、皆で楽しく交流させて頂きました。 その後、場所を移し皆で歓迎昼食会を行いました。食べ放題メニューを選びましたが、 さすが10代の食欲はすごい! 見ているだけでお腹一杯に。若いパワーを頂きました。 4月21日には、当社のOB会である「桔梗会」が執り行われました。 今年でこの桔梗会も55回目を数え、今年は25名のOBの皆様にお集まり頂きました。 当日は、本社講堂にお集まり頂き、総会や記念法要、福安寺住職様のご法話、 そして会食を和やかに開催させて頂きました。 会食中は各テーブルで昔話しに花が咲き、皆様の笑顔と笑い声に溢れ、 会場内は華やかにそして若葉が光り輝くかのような雰囲気に包まれ、無事閉会させて頂きました。 こうして今があるのは、多くの先人先輩方のお陰です。 この桔梗会を通して、改めて当社に息づく長い歴史と伝統を感じました。 そして、今年新しくご縁を頂き、入社してくれた10名の新入社員の姿を通して、 この歴史と伝統をこれからもしっかりと繋げて行かなければと強く感じました。 当社も6月1日には131年目を迎えます。 新生ハセトラに向け、これから新しい挑戦をしていきます。 そして、当社の創業記念日である6月1日より、ホームページもリニューアル致します。 新しくなったホームページを楽しみに、また引き続きご覧頂ければ幸いです。
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繊研新聞に掲載されました『挑戦~ハイブリッド素材開発~』
弊社の紡績事業部のテキスタイル・アパレル部門において3月2日(金)繊研新聞の一面に 新しい取り組みとその開発秘話が掲載されました。 繊研新聞は、業界紙ではありますが、 繊維業界ではとても多くの方に購読されております。 クライアント様のゴールドウィン 『ザ・ノース・フェイス』2018-19秋冬コレクションにおいて 高い保湿性を備え、水濡れに強いダウンを使った 『サンダージャケット』が発表されました。 記事中のスキーヤーで冒険家の三浦雄一郎さんからも 『温泉に入ったような暖かさ』と評価を頂いている混率は ダウン60%(そのうちフェザー6%)ポリエステル40%で従来より合繊の比率が 高いハイブリッドダウンです。 その素材開発は従来の商品よりも、より社会にとって良いこと より人びとにとって良いことを追求し、 諦めることなく不可能に挑戦したからこそ実現しました。 もちろん、この開発が実現したのは当社だけの力ではなく 共にものづくりを行うパートナー様が居てこそ。 まさに、素材だけでなく、業種間・職種間を超えたハイブリットと言えます。 今後も常に新しいことに挑戦する姿勢を失わず より良いものづくりを愚直に追求して参りますので 引き続きご愛好の程よろしくお願い申し上げます。
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新年のご挨拶~長年の感謝を込めて〜
早くも1ヶ月が過ぎ、如月に入り2月9日には 平昌オリンピックが開会され、今から 日本勢の熱い戦いが繰り広げられると期待しています。 さて、先月の事になりますが、1月6日に新年を迎え 改めて社員一同の士気を高め さらなる技術・センスの向上、躍進に向け努力 精進するよう、年賀式を行いました。 長谷虎紡績株式会社では毎月始めに月例会を 行っていますが1月の月例会となる年賀式では 社員一同非常に大切にしている道徳心について 正眼寺ご住職の山川宗玄老師をお招きして 記念講演を開催いたしました。 老師の記念講演での学びと致しまして 禅語「懸羊頭 賈狗肉」(ようとうをかけて くにくをうる) 見せかけが立派でも実質が伴わず 見かけ倒しのことを言うのだそうです。 我々も見かけ倒しにならない様に 仕事を一生懸命に行い お客様に安心、喜び、満足をして頂ける商品 サービスをご提供し続けていきたいと 改めて身の引き締まる思いで拝聴いたしました。 大変遅くなりましたが、 皆様にとって幸多き1年になりますようお祈り申し上げ 年始のご挨拶とさせて頂きます。 本年も引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。
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ハセトラ祭2017~地域への感謝報恩の思い~
11月3日(金)、当社の本社グラウンドで第64回ハセトラ祭が開催されました。 ハセトラ祭は、60年以上前から続く当社の伝統行事のひとつです。 もともとは運動会として、昭和27年11月3日「文化の日」を記念し 従業員全員が集まって開いたのが始まりです。 現在では運動会の開催と同時に、当社製品の販売も行っています。 当日はお天気にも恵まれ、昼間は汗ばむ程の陽気でもありましたが 早朝より多くの方にお越し頂きました。 この商品販売は、地域の方への日頃の感謝報恩の気持ちから始まり 年々その規模は大きくなり多くの地元の方にお越し頂いています。 本年度は、特に創立130周年という節目の年ということもあり より多くの皆様方にお越し頂きました。 このお祭りは、普段地元の皆様と触れ合う機会のない 当社の社員にとって、大変貴重で重要な催しとなっています。 当社を引退されたOBの皆様や、従業員のご家族の皆様とも交流できる かけ替えのない交流の場でもあります。 グラウンドでは、職場対抗で玉入れや二人三脚などの競技も行われ 真剣取り組みながらも 笑いありの和やかな空気で進めておりました。 今年も沢山の方にお越し頂き心より感謝致します。 2018年も11月3日(土)に開催しますので、ぜひご来場くださいませ。 従業員一同皆様のお越しをお待ちしております。
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国内最大級のインテリア展示会 ~JAPANTEX2017のご案内~
今年で開催36回目を迎える 日本最大級の国際インテリア見本市 JAPANTEX(ジャパンテックス) 長谷虎紡績では 今年も、もちろん出展致します。 今年の開催テーマは 「Japan Style × Interior Beauty ―日本のおもてなし、ひとを想うデザイン美学―」 インテリアを中心に ライフスタイルやインテリアスタイル 最新のトレンドなどが提案されます。 長谷虎の展示商品は “Premium CJ Tile Carpet” 5/64ゲージのレベルカット高密度パイルに オリジナルのプリントを施したシリーズです。 新型CJ機となり より滑らかなグラデーション 立体的で豊かな柄表現が可能になった 長谷虎の製品をぜひご覧くださいませ。 長谷虎の製品は 日本カーペット工業組合様のブースにて ご覧頂けます。 ぜひJAPANTEX2017にお越し頂き 長谷虎製品の展示ブースまで 足をお運び頂けましたら幸いです。 皆さまのお越しをお待ち致しております。 <JAPANTEX2017詳細> 日程:11月15日(水)〜11月17日(金) 時間:10:00~17:00
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NEOCON 2017の視察を終えて ~時代の潮流を読み解くカーペットトレンド~
昨年に引き続き、今年も「NEOCON2017」の視察のため アメリカのシカゴまで行って参りました。 NEOCONは シカゴのマーチャンダイズマートにて毎年開催される 世界最大のコントラクト向けインテリア見本市。 今年の開催日は6月12日~14日の3日間でした。 さて、NEOCONの開催場所であるマーチャンダイズマート マーチャンダイズマートは、1930年着工から2年の歳月を経て 卸売業の総合ビルとして完成しています。 しかし、時代はセ界大恐慌の真っ只中。 マーチャンダイズマートは完成後すぐに ゴーストビル化してしまったという歴史が残されています。 その後、1946年にジョセフ・ケネディにより買収されたことをきっかけに 卸問屋やオフィスの他ショールーム・展示会場としても活用され 今ではなんと年間300万人もが訪れる商業ビルとして 発展し続けています。 実は、このマーチャンダイズマート 商業建築のビルとしては世界一の敷地があり 総面積は39ヘクタール 階数は25階まであり、その高さはなんと104mもあり これより広い建築物は 1940年に建設されたアメリカ国防省のペンタゴン 以外にはないと言われています。 マーチャンダイズマートの向かいには シカゴで成功を収めた数々の商人のブロンズ像が 建物を見守るかのように並ぶ姿を見ることができ その存在感は確固たるもの。 まさに、建築の街シカゴ!!を象徴するかのような建物です。 そんな歴史のある建物で開催される「NEOCON」も今年で49回目を迎え 近年の来場者は5万人を超え、年々増える人の多さからも注目度の高まりを感じます。 さて、カーペットについてですが 主要メーカーの新商品が一同に見られるというだけあり 最新の技術を駆使した製品は毎年大変見ごたえがあります。 今年の傾向のひとつとして床材の多様化を感じました。 各社カーペットだけではなく LVT(ラグジュアリービニールタイル=デザイン性の高い塩ビタイル) 等のハード床材の分野にも力を入れており 異素材を組み合わせることにより、フロアデザインの可能性を広げようとする印象を受けました。 カーペットの色に関して、 多くのカーペットメーカーでモノクロの色使いが多い印象がありましたが 『knoll』や『carnegie』などの家具メーカーでは カーテンやソファにカラフルな色合いのものが多く 部屋全体のコーディネートとして捉えて見ると モノクロとカラーのバランスが良く 全体として調和が取れているように感じました。 デザインの傾向としては 自然の中にあるものをイメージソースに デザイン表現したものが多く見受けられました。 このように、自然との繋がりに価値を置いたデザインのことを “バイオフィリックデザイン”と呼ぶのですが 現在のオフィス空間において非常に注目されている 空間デザインの1つになっています。 勤務時間中でも、いかにリラックスして過ごせるかが 生産性、創造性の向上に繋がると言われており それが写真のような苔や植物など自然界から抽出した デザインに現れているように感じました。 このように、時代の流れを読み解き 求められる商品を創り、ご提供することが お客様に喜びと感動を与えられる一歩だと感じています。 これからも技術やデザインを学び続け より良い商品をご提供できるよう取り組んで参ります。 今後とも長谷虎紡績株式会社を どうぞよろしくお願いします。
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『冴』シリーズ「ホテル客室向けCOLLECTION1/16G」 ~ハセトラがご提供するNEW BASIC柄~
皆様の日頃からのご愛顧により 『冴』シリーズ 「ホテル客室向けCOLLECTION1/16G」を 作成することとなりました。 今回の商品は 「1/16G」という高密度マシーンを 駆使して作成したコレクションです。 「1/16G」のハイグレードな高密度は 滑らかなグラデーションと 繊細でシャープな凹凸を 自由に表現できることが特徴です。 コレクションの柄は、全部で3柄。 冒頭の写真は 幾羽もの鳥が重なりあって 飛ぶ様を描いた千鳥柄を リズムよく組み合わせることで 躍動感のあるデザインに仕上げている “Chidori” – 千鳥 – 正方形を交互に規則正しく敷き詰められた 石畳をインスピレーションソースに シンプルでありながら美しい表情が 際立つデザインに仕上げた。 “Ichimatsu” – 市松 – 水蒸気がゆらゆらと立ち湧いて 昇る様をインスピレーションソースに作成された 豊かな奥行きを感じさせる “Tatsuwaku” – 立涌 – どの柄もシンプルでありながらも 今までにない立体表現と 美しいグラデーションで 『冴』ある仕上がりになっています。 『冴』シリーズ 「ホテル客室向けCOLLECTION1/16G」は 8月末にリリース予定です。 お問い合わせ頂ければ 喜んで皆様のもとにお届けに参ります。 どうぞよろしくお願い申し上げます。
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創業記念式典~感恩の心をひとつに~
去る6月1日、本社講堂で創業記念式典を執り行わせて頂きました。 明治20年(1887年)に初代長谷虎吉が創業し 今年は130年という節目の年を迎えることができました。 これもひとえに多くの方々や 伝統に守られ生かされたからこそであると言えます。 心より御礼申し上げます。 創業記念式典では、正眼寺ご住職の山川宗玄老大師猊下様より 特別講演を頂きました。 講演の中で、山川老大師様と当社の繋がりについてお話しがあり その内容は非常に興味深く、魂を揺さぶられるような内容でしたので ご紹介させて頂きます。 今から40年前、まだ山川老大師様が雲水として 修行をはじめた頃にさかのぼります。 当時、岐阜県美濃加茂市にある正眼寺から 修行の場所を京都の妙心寺に移し その当時の妙心寺派の管長であった 梶浦逸外管長様の隠侍(秘書の様な役割) としてお仕えしていた頃の事です。 ある日、梶浦管長様より、直ぐに車を出すように指示され 管長様を乗せ京都の妙心寺を出発されたのだそうです。 行き先も告げられぬまま、「そこを右、そこを左」という声に従い しばらく車を走らせると高速道路に乗り それから更にしばらく走ると大垣ICの所で車を降りるように指示されたのでした。 大垣ICを降り下道を走ると、羽島方面に向かっていることが分かりました。 確か、羽島には梶浦管長様が懇意にされている 長谷虎紡績株式会社があり、そこに向かっているのが何となく分かったそうです。 しばらくすると、運転席から目に飛び込んで来たのは 工場からもくもくと上がる黒煙でした。 瞬時にこれはただならぬ事態であり 梶浦管長様が急ぎ車でここに来た理由も はじめて理解できたのでした。 昭和52年(1977年)3月7日 この日昼過ぎに弊社平方工場から出火した火は瞬く間に燃え広がり 工場5棟(約8,000㎡)が全焼しました。 この火災によってカーペット工場にとって 最も重要な工程であるタフト機10台全てを消失し 我々にとってまさに存亡の危機を迎えたのでした。 梶浦管長様が羽島に到着された頃には 火災は幾分か沈静化しているとは言え まだ騒然とした雰囲気だったそうです。 被災した工場を車中から確認し 車はそこから10分程の所にある長谷虎紡績本社に向かいました。 本社に到着すると、玄関には先代の長谷虎治社長他 重役が玄関で梶浦管長様を出迎え、直ぐに応接間に入りました。 ここからの出来事は、まだ若かった山川老大師様にとっても 非常に印象的なものであり、今でもその光景を思い出すそうです。 梶浦管長様は、玄関に入り開口一番「おめでとう」 という言葉を連発されたのでした。 大きな火災を出し、会社が潰れるかどうかの瀬戸際で 明らかに長谷虎治の顔は動揺し、その表情は暗く沈んでいたものでした。 そこにいきなり、「おめでとう」という言葉をかけられ 困惑の表情であったようです。 山川老大師様は、これから二人の間でどのようなことが起きるのか 注意深く傍で見なければと瞬時に思ったのだそうです。 応接間に入り、長谷虎治は梶浦管長様に 火災の状況の報告などをひと通り説明を始めます。 明らかにその表情は不安や緊張 暗い表情でうつむき加減であったそうです。 大きな火災に見舞われた直後であり、それも無理はありません。 それに対して梶浦管長様は、「うん、そうか、そうか」と 素っ気ない返事をするのみ。 時折、「良かったじゃないか」と拍子抜けする返事に 明らかに長谷虎治は困惑の表情をしていたのでした。 更に、うつ向き加減で話しを進めると その話しを遮るかのように 「あんなボロ工場燃えて良かったじゃないか」 という言葉を浴びせかけたのでした。 その瞬間、はじめて長谷虎治は顔を上げ グッと睨みつけるような目で梶浦管長の目を見たのだそうです。 そして、梶浦管長はそれを待っていたかのように もの凄い迫力で「だから、おめでたいと言っておるのじゃ!」と 一喝するように畳み掛けた瞬間 長谷虎治は何かを悟ったかのように ふっと落ち着いた穏やかな表情になったのだそうです。 山川老大師様は、その表情の変化と空気が変わったことを 今でもよく憶えているそうです。 その直後、長谷虎治は応接間にある電話を取り 何箇所かに電話を始めたのだそうです。 それを見た梶浦管長は、「うん、それで良い」という言葉を残し 長谷虎紡績を後にしたのだそうです。 この時、長谷虎治が電話をした相手の一人が 機械商社の日光商事(現ニッコーテクノ)の宮西社長様であり この一本の電話がその後に「奇跡」とも言える、復興に繋がるのです。 (通常、機械の発注から据付までに約半年かかるのが 火災から3週間後には工場に届くなど、いくつもの幸運に恵まれ現在の当社があります。) 梶浦管長は、「おめでとう」という一言で 相手の沈んだ気持ちを奮い立たせ 燃え上がらせ、そして冷静にさせる。 恐らく、あの時自分自身を見失った状態であったならば 長谷虎治は経営判断を的確に下すことが出来ず 今の会社は無かったかもしれません。 この二人の間で繰り広げられたやり取りを改めて聞き 鳥肌が立つような感覚を受けました。 記念講演の後、山川老大師様と懇談する中で この火災からちょうど今年で40年という節目を迎えることをお伝えすると 山川老大師様は少し驚いた様な顔をされこうお話しくださいました。 この日、もともとこの火災でのエピソードを お話しする予定は無かったのだそうです。 講演を進める中で、ふとこのエピソードが頭をよぎり この話しを始めたのだそうです。 「もしかしたら、この話しをしなさいと 会長さん(長谷虎治)が導いてくれたのかもしれませんね」 と優しく語りかけてくださいました。 節目ということを大切にすること。 そして、過去に起こった様々な出来事の意義を知り それをどう捉えその先に活かすか。 この130年という意義を改めて感じると共に 150年、200年に向かって参りたいと思います。 今後共、皆様からのご指導ご鞭撻の程 よろしくお願い致します。
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